自分が応援したい自治体に寄付ができ、お礼として各地の特産品が届き、税金の還付・控除が受けられるふるさと納税制度ですが、総務省自治税務局市町村税課が令和3年に実施した「ふるさと納税に関する現況調査結果」によると、令和2年度のふるさと納税の受入額は約6,725億円で過去最高。平成27年度の約1,653億円と比べて4倍強の数字です。また、ふるさと納税による住民税の控除適用者数も約552万人と過去最高を記録しています。
ふるさと納税は、合計寄付額から自己負担額の2,000円分を差し引いた金額が、住民税や所得税から還付・控除される制度です。さらに寄付額の約3割の返礼品を受け取れます。ふるさと納税受入額の飛躍的な伸びをみると、ふるさと納税のメリットは多くの利用者に肯定的に受け止められていると考えられます。
利用する側からすると、ふるさと納税はメリットがあってもデメリットはほとんどありません。その証拠として、ふるさと納税の受入額は年々右肩上がりに増加しています。
それでは、なぜ利用者にとってメリットしかない制度を国は何故つくったのでしょうか? その理由は、ふるさと納税の目的にあります。ふるさと納税の主な目的は、地方の自治体にも税金が届くようにするためです。地方のふるさとで行政サービスを受けて育ち、進学や就職を機に都会で生活し始める方は多く存在します。この場合、納税は都会の自治体で行うため、自分を育んでくれた地方の自治体へ税金は届きません。ふるさと納税は、上記のような税収の不均衡を是正する目的で制度設計されています。ただし、いくら高い理念があっても、制度が利用されなければ意味がありません。そのため、ふるさと納税は多くの方に利用されるよう、基本的に利用者が得をする仕組みとなっています。